テラクレスタについての技術メモのようなもの
テラクレスタの音源についての考察
PSG(YM2203)版とFM音源(YM3526)版が存在することは、その筋では有名な話ですが、Wikipediaには、YM3526の国内でのチップ不足によって、代わりにYM2203版が登場したとの記述があります。実際双方の基板の音源チップ周りを見比べると、FM音源版は非常にシンプルなのですが、PSG版はわざわざサブボードを用意してチップ*1を実装しています。ということは、本来はFM音源版が正しい姿ということになるのですが、出回った枚数の関係からか、世間的には、PSG版が国内仕様で、FM音源版が海外仕様ということになってしまっているようです。かく言う自分もその一人でした。FM音源版はすばらしいニチブツサウンドなので、なんとも残念な話ですね。
ちなみにYM2203チップもYM3526チップも、ヤマハ製のFM音源チップだったりします。PSG版は、YM2203のPSG(厳密にはSSG)音源部だけを使用しているわけですね。YM2203の方が同時発声数が少ないものの、FM音源としては高性能なので、勿体無い話ですね。音源仕様が違うので仕方がないのでしょうけど。
テラクレスタＰＳＧ版をFM音源版に
で、本題。上に書いたようにテラクレスタのPSG版は、FM音源版を仕様変更したものなのですが、どうやら、PSG版をFM音源版にコンバートすることができるようです。(参考URL)
変更点は、２つあり、上に書いたサブボードをYM3526チップに変更することと、サウンドＲＯＭをFM音源対応版に差し替えることです。割と簡単そうですね。もう少し具体的に書いてみましょう。
YM2203サブボードからYM3526への変更
まずはYM3526チップを入手することが必要です。幸いピン互換のあるYM3812でも動作するそうなので、入手難易度の低そうなYM3812を選ぶべきでしょうね。もっともどちらもすでに生産していないのですが。入手方法としては、１．業者から買う、２．他のゲーム基板から取り外す、３．ゲーム基板以外のものから取り外す、くらいでしょうか？
１については、ネットを調べるとまだ取り扱いのある業者があるようです。ただ価格も見積もり依頼しないと判りませんし、小売してくれるのかも不明です。ただ、新品で入手できるというメリットは大きいと言えます。
２については、ジャンクの基板が買える環境なら、かなりいい選択ですね。残念ながら自分はその環境ではないのですが。あとは基板に実装されたチップを上手に取り外せるかという問題もあります。
３については、初期のＰＣ用音源ボードの「サウンドブラスター」系に採用されていたので、その辺りが入手できればＯＫと言うことになります。ひょっとしたら、一番安価に入手することができるかもしれません。こちらもゲーム基板同様、取り外しの技術が必要になります。自分は、手持ちのPC98用のサードパーティ製のFM音源ボードにYM3812が積まれていることが判ったので、最悪それを使うか？と言う感じですね。
FM音源チップが入手できたら、サブボードを取り外し、代わりにそれを取り付ければ、OKです。音源周りは基板の裏面にあります。
FM音源版のＲＯＭの差し替え
こちらの方がある意味難易度が高いかもしれません。なぜなら、ＲＯＭライターが必要になるからです。自分が持っているｏｒ知人に所有者がいる、ということであれば、敷居は下がりますが。
さらに難易度が高い？のが、FM音源版のロムの入手です。テラクレスタFM音源版を所有している人が身近にいれば、サウンドロムを吸出し→ロムライターでＥＰＲＯＭへの書き込みでＯＫですが、そうでないとすると・・・ということです。多くは書きません。そもそもFM音源版にコンバートすることはどうなんだ、と言う話もありますが。
自分の場合は・・・どうしましょうね？(笑) ロムライターは以前から欲しいとは思っているのですが。
巷に出回っているFM音源版のテラクレスタは・・・
上に書いた通り、比較的簡単にFM音源版にコンバートできるようなのですが、あることに気がつきました。最近FM音源版として、稀に流通しているものは、改造版の可能性があるということです。
実際、改造版と銘打って、オークションに出品されたり、動画サイトにアップされたりしているものもあるのですが、そうでないものもあるのでは？ということです。
見分け方は、音源チップの型番です。チップがYM3812だった場合は改造版の可能性が高いのでは？ということですね。
ちなみに改造版と正規版の音そのものの違いは判りません。上に書いた改造版音源の動画を見た(聴いた)限り、曲自体は同じだと思いますが、効果音まで同じかは謎です。聞き比べたことも無いですし、イマイチ基板の仕様が判らないので・・・。
というわけで
上の解説の中にも書きましたが、そのうち手持ちの基板もコンバートしてみようと思います。もちろん、自己責任で。
